腎臓と腎

 タモリさんと山中伸弥教授の司会により、今週から始まったNHKスペシャル「人体」を見ました。

 

 第1回は腎臓がテーマで、サブタイトルが「腎臓が寿命を決める」。

腎臓というと、尿を作る器官というイメージが強いですが、

東洋医学では、「腎」は「生命力の源」とされ、成長や老化と最も関係が深い臓器とされています。

 

 東洋医学では、人の体を支えるものとして、「先天の精」と「後天の精」があるとされます。

「先天の精」は、生まれたときに両親から受け継いだ生命の源です。「腎」に大切に保管され、

発育・成長の過程で使用され、生殖に深く関係しています。

「後天の精」は、呼吸や飲食物から得られるもので、「胃」などによる消化活動を通じて作られます。

先天の精は、人によって多い少ないがあり、後天の精が、大事な先天の精を補給するので、やはり食事は大切です。

 

 腎は、尿や生殖器、髪や脳、骨、耳とも関係が深く、呼吸とも深く関係します。

鍼灸治療でも、不妊症、めまい、不眠、耳の疾患、喘息、夜尿症、冷え性、腰痛、膝痛の治療などに関係しています。

 

 若い人や、食事や呼吸、運動がきちんとできている人は、先天・後天の精が盛んです。病気やケガに対する抵抗力が強く、かかっても治りやすいです。高齢者や、食事や呼吸の問題や過労で精気が不足してくると、生命力が弱まり、病気にかかりやすくなったり、老化が早まったりします。

 

 NHKスペシャルでは、最新の医学研究により、リンなどの血液中の物質量を調整したり、他の臓器との連携で、腎臓が中心的な役割を果たすことから、腎臓が寿命を決めるとされ、重要性が解明されてきたことが放送されていました。

 

 二千年以上前から東洋医学の世界で、生命力や老化に関係が深いとされていた「腎」と最新医学研究で解明されてきた「腎臓」の重要性が、つながってきていることがとても興味深いです。

 

 番組では、腎臓に負担をかけないために、余計な薬は飲まないほうが良いと放送されていました。

また、良い食生活と睡眠で腎を健やかにして、老化を予防し、元気に過ごせるようにしたいですね。

 

2017年10月03日